日本の夫婦別姓の現状。メリットやデメリット、子供への影響は

日本では、結婚をすると女性は男性の姓に変更するのが一般的です。でも、どうして夫婦は同じ姓でなくてはいけないのでしょう。女性の社会進出が進み、結婚しても独身時代と同じようにバリバリと仕事を続ける女性が増えた今、夫婦だからといって同じ姓にする必要があるのでしょうか。夫婦別性について、改めて考えてみませんか?

日本の夫婦別姓の現状

残念なことに、日本ではまだ夫婦別性は認められていません。

民法第750条(夫婦の氏)には「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」との記載があり、結婚に際して男性又は女性のいずれか一方が,必ず氏を改めなければいけません。

どうしても同じ姓にしたくないと言う場合、事実婚を選ばなくてはいけないのが日本の現状です。

しかし、女性の改氏による社会的な不便・不利益を指摘されてきたことなどを背景に、「選択的夫婦別氏制度」の導入が検討されています。

「選択的夫婦別氏制度」が導入されれば、別々の姓のままで法律上夫婦と認められるようになるのです。

※参考元: http://www.moj.go.jp/MINJI/minji36.html

 夫婦別姓のメリット・デメリット

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事実婚でもいいからと夫婦別性を選ぶ二人もいるでしょう。

女性の仕事や人生を考えて二人で出した結論なら、決して悪い選択ではないはずです。

では夫婦別性を選ぶことで、どのくらいのメリットとデメリットがあるのでしょうか。

夫婦別姓のメリット

・一個人としての自分を守れる

大好きな彼と人生のパートナーになれることはとても嬉しい事です。

でも、結婚してこれまで名乗っていた苗字を変えてしまうことで、これまでの自分がいなくなってしまうような喪失感を覚えることもあるでしょう。

これまでの自分も、これからの自分も、同じように大切にしていきたい。

一個人としての自分を守る事が出来るのは、夫婦別性の大きなメリットでしょう。

・仕事での影響がない

これまで仕事を頑張ってきたあなただからこそ、仕事でのお付き合いは広いでしょう。

面倒なのは、名刺の擦り直しをしたり、メールの署名を変えたりと処理だけではありません。苗字が変わったことに気づいた人に聞かれる「結婚したの?」にいちいち対応することも大きなデメリットです。

さらに日本は「結婚と出産」をセットで考える傾向があり、こんなに女性が社会に進出している現代でも、「出産をしたら女性は仕事から一線を引くもの」という考えを持った人は少なからずいるようです。

そのため、結婚をして苗字を変えることで大きな仕事から外される、取引先から担当変更の申し出がある、といったことも実際にあるのです。

結婚しても姓を変えない事は、、仕事を続けるうえでの大きなメリットでしょう。

・「○○家の嫁」ではなく「○○の妻」でいられる

大好きな彼の家族を、必ずしも大好きになれるとは限りません。

結婚して彼の妻になることを望んでいるからといって、彼の家族のことも大切にしたいとは思えない場合もあるでしょう。

日本では、結婚して同じ苗字になると言うことは、「○○家の嫁」として彼の家族になることです。

夫婦別性を選ぶのなら、「〇〇の妻」にはなりますが、あくまで「妻」です。

彼の家族の中に飛び込む必要はありません。

・公的な手続きが不要

結婚をして苗字を変えると言うことは、公的に登録している名前全てに変更手続きが必要になります。免許証に銀行、保険証、細かいところでは通販サイトなどでも名前を変える必要があります。

これらの手続きは、苗字が変わった証明が必要になりますので時間が立てばたつほど面倒です。

夫婦別性を選べば、こういったわずらわしさが無いのは大きなメリットです。

・自分の苗字を継ぐことができる

自分の苗字が珍しい物であれば、残したいと思うのは当然のことでしょう。

凄く珍しい苗字なのに、実家に男子がいなければその苗字は親の世代で終わってしまいます。

苗字、家紋といった日本の伝統を自分が引き継ぎ、後世に残すことが出来るのは、夫婦別性のメリットです。

・離婚しやすい

結婚を考えているのに、デメリットじゃないの?と思う方もいるでしょう。

でも、これは本当です。

離婚は、結婚の何十倍ものパワーを使います。それでも離婚したいと思うのですから、障害は少ない方がいいに決まっています。離婚したときに苗字を変えるかどうかは女性の悩みの種で、大きなデメリットです。

離婚するほどのことがあったのですから、夫の苗字は名乗りたくない。でも、子供のことや手続きの複雑さを考えると、「面倒くさい」となりますよね。

「離婚を考えた時の足かせが減る」これは、女性が自由を手に入れるための大きなメリットです。

夫婦別姓のデメリット

・婚姻による優遇措置を受けられない

日本には、結婚して夫婦になれば当然受けることができる「所得税の配偶者控除」「給与の扶養家族手当」等があります。しかし、現在の日本で夫婦別性を選ぶとこれらを適用することは出来ません。

年金も夫婦バラバラにかける形になるので、妊娠、出産で仕事をお休みする女性は将来的にもらえる金額が少なくなるでしょう。

公的な優遇措置が受けられないのは、大きなデメリットです。

・家族間の苗字がバラバラになる

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夫と妻の苗字が違えば、子供はどちらかの苗字とは異なるようになります。

さらに、離婚して旧姓を名乗っている母親と同居なんて事になれば、家族全員苗字がバラバラなんて事にもなりかねません。

一つの家に表札が3つ並ぶと言うのは他人の興味を引きます。

静かに暮らしたい人には、他人にいちいち説明しなくてはいけないのはデメリットになるでしょう。

・社会的な信用が得られない

夫婦別性は、これまでの日本では考えられなかったことです。

当然、年配の方には受け入れがたいもので「結婚をしたのに夫婦の苗字が違う」あなたを「我儘」「気が強く勝手な人」というレッテルを張る事もあるでしょう。

社会的な信用が得られないのは、自立した人生を送りたい女性にとってはデメリットです。

・法的には「他人」なので代理の手続きが行えない

現代の日本では、夫婦別性はまだ認められていません。夫婦別性を選択するのなら「事実婚」となり、法的には「同一世帯の家族」とは認められません。銀行やインターネット、携帯の契約など、夫婦であれば代理で行えるものも、夫婦別性だと認められないケースもあります。

また、命に係わる病気や怪我でいち早く処置が必要な場合、家族の同意書が必要になります。その時も、正式に夫婦でないことで、同意書へのサインを認められないこともあるでしょう。

彼の一大事、代わりに手続きを出来ないのは大きなデメリットです。

・法定相続人になれない

パートナーが亡くなった場合、事実婚のパートナーには相続権がありません。もちろん、遺言などでパートナーに相続させることはできますが、通常の相続よりも支払うべき税金が上がります。

これまで一緒に生きてきたのに彼が残してくれたものを全て手放さなければいけないのは、日本で夫婦別性を選んだ2人には悲しいデメリットです。

・パートナーが結婚してしまう可能性も?

現在の日本では、まだ夫婦別性は結婚として認められていません。つまり、夫婦別性を選ぶと言うことは、事実婚、戸籍上はお互いに独身です。

もちろん事実婚であっても貞操義務はありますが、同居を解消すれば事実婚も解消されます。

別れても離婚歴は尽きませんし、別の誰かと結婚をすることもだってできるのです。

パートナーが浮気に走り、別の女性と結婚してしまうことだってあり得るのです。

彼の別の女性との結婚を止めることが出来ないのは、夫婦別性の大きなデメリットです。

子供ができた場合の影響とは

夫婦となれば、お互いのことだけではなく子供のことも考えていく必要があります。

夫婦別性を選択した場合、子供が出来たらどうなるのでしょうか。

子供が非嫡出子となる

くどいようですが、現在の日本では夫婦別性は結婚とは認められていません。

つまり、子供は非摘出子となります。もちろん、認知は可能ですので認知をすれば父親の欄にパートナーの名前は記載されます。

しかし、パートナーに摘出子がいた場合(以前結婚していた時の子供など)、遺産相続の権利がかわります。

非摘出子は、摘出子の半分しか相続権利がないのです。

単独親権となる

夫婦別性の場合、子供は母親の戸籍に入ります。

そして特別に手続きをしない限り、親権は母親のみが持つことになるのです。

親権がないと、子供の保険の契約や口座の開設などもできません。子供にかかわる手続きは、全て母親しか出来ない事になるのです。

夫婦別性を選ぶことは自由と責任を伴う

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夫婦別性は、パートナーと一緒に生活しているのに「束縛感が少なく自由性が高くて楽」というメリットがある一方、「証明が困難で、社会的理解も不足」「子供を持った時に非摘出子になる」というデメリットがあります。

自由に伴うデメリットを、「夫婦別性を選んだ責任」としてしっかりと受け止めることが出来るのなら、決して恥じることはありません。

あなたはパートナーと「愛情」だけで結ばれているのだと、自信を持って生きて行けるのではないでしょうか。

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