“同性愛”と“性同一性障害”という単語を聞いた事ありますか?私の周囲にも同性愛者の知人がいます。同一と思われがちですが、どちらも似ているようで全くの別物です。どんなな違いがあるのかを説明させていただきますので、少しでも参考になれば幸いです。
性同一性障害とは?
“性同一性障害”と聞いて、まず何を思い浮かべるでしょうか。
この言葉から、誰もが真っ先に浮かぶのは「“心の性別”と“身体の性別”が合致していない」ではないでしょうか。
まさに、そのとおりです。
しかしながら、性同一性障害に関して、どの程度認識できているか。多くの人達が、その全てを理解しきれていないのが現状です。
「性同一性障害とは、どういう障害なのか」「普段の生活にどのような違いがあるのか」また深刻度合い等、その症状や治療に関するお話をしていきます。
性同一性障害とは病気?それとも病気ではない?

そもそも“性同一性障害”とは、病気なのかどうか。
障害という単語が付いているくらいですから、心の障害には違いないかもしれません。
まず、その症状についてですが、彼ら彼女らは、自分の生まれ持っての性別に対し、違和感から始まります。
例えば成長する過程によるものですと、男性は「男性器や筋肉」、女性は「乳房の成長や、生理」など、こういった成長部位を目の当たりにすることで、嫌悪感を抱き、いずれはそれらを取り除く手術を希望するようになります。
つまり病気というよりかは、“心の障害”です。
治療の必要性は?また、治療方法はどんな方法?
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まず、性同一性障害は治療をした方が良いのかどうか。
必ずしも治療をしなければならないわけではありませんが、しなければしないで、悩みの種が日々拡大していく方もいます。
また、治療方法の違いは男女別に分けると、大まかには以下の通りです。
◆生物学的に女性である場合
・性ホルモンの投与
・乳房切除
・性別適合手術(子宮卵巣摘出、膣粘膜切除、膣閉鎖術、尿道延長術、陰茎形成術)
◆生物学的に男性である場合
・性ホルモンの投与
・性別適合手術(精巣摘出術、陰茎切除術、造膣術、陰茎形成術、外陰部形成術)
上記からわかるように、性別適合手術を受けた場合、同性愛者と違い、永久に生殖機能が失われます。
そのため、最終手段とも言える性別適合手術は相応の覚悟が必要であるため、よく考える必要があります。
同性愛とは?
主に「ゲイ」「レズビアン」とも呼ばれています。
こちらの単語の方が、性同一性障害よりも一般的によく使われており、皆さんもしっくりくると思います。
簡単に説明すると、性的指向(恋愛対象)が、異性なら“異性愛”、同性なら“同性愛”となります。また、性同一性障害とは概念が違い、全くの別物です。
では実際に、どのような違いがあるのかをお伝えします。
精神疾患ではありませんが、不利な点があります。

性同一性障害と違い、病気と判断されないため、医学的治療も必要ありません。
“心の性別”と“身体の性別”が一致している関係上、性同一性障害の方よりも悩みは少なく、あらゆる意味で自由度が高いです。
上記のメリットがある一方、デメリットもあります。
それは結婚面について。海外では、同性との結婚が認められている国も存在しますが、現在の日本では同性婚が不可能です。
また、社会的にも厳しい目で見られるため、この点で苦しむ同性愛者は少なくありません。
ただし同性婚はできませんが、挙式は可能です。同性カップルを受け入れてくれる結婚式場が、日本国内で現在500件以上も存在します。
気持ちのみの形にはなりますが、永遠の愛を誓うことはできるのです。
同性愛も一種の“愛”の形です。

ご存知の通り、同性愛は異性愛と比べると、性指向において少数派です。一部の人達から異常だと称されて、一方的に変態扱いされる事もあるそうです。
しかし同性であろうと異性であろうと、他の人間を愛すること、すなわち立派な愛の形なのです。
仮に自分たちと違いがあると思ったとしても、それをストレートに発言するのはNGです。
トランスジェンダーやバイセクシュアルと、どう違いがある?
これまで“性同一性障害”と“同性愛”は聞いたことあっても、“トランスジェンダー”や“バイセクシュアル”は、あまり聞き慣れないかもしれません。
むしろ全部一緒だと考える人までいますが、どれも個別の概念となります。
その違いについて、一つずつお話します。
性同一性障害=トランスジェンダーではありません。

まず、両者の共通点は「生まれた時の性別が、心の性別と合致しないこと。」
性同一性障害とトランスジェンダーは同じだと誤解されがちなのは、スタート地点が共通しているためです。
では、どのような違いがあるのかというと、トランスジェンダーは「既に性別適合手術を済ませた人」、性同一性障害は「性別適合手術を受けていない、生まれ持った性別のままの人」。
つまり今は治療や手術を受けていなくとも、そこからトランスジェンダーに発展する可能性はあります。
同性愛者とバイセクシュアルも、全く違います。

同性愛とバイセクシュアルも一部共通している部分があり、同様と思う方もいますが実際には別物です。
上記でもお伝えしたとおり、“同性愛”は同性が恋愛対象です。
それに対し“バイセクシュアル”とは、男性女性関わらず、その両方が恋愛対象となる人のことです。いわゆる“両性愛”や“バイ”と呼ばれていますね。
ただし両性愛者だからと言って、男女見境無いかと言うと、そうではありません。当然ですが、同性愛者も両性愛者も、きちんと相手を選んでいます。
同性愛者も性同一性障害者も、普通の人との違いはありません。
上記のとおり、同性愛者も性同一性障害者も、私たちと同じ感覚を持っています。他者からの言動一つで、喜ぶこともあれば傷つくことだって当然あります。
なんでもかんでも興味本位で色々な質問してしまうと、かえって距離を置かれ、絶交されてしまう場合もあります。それだけ皆、真剣に考えているのです。
では、同性愛者や性同一性障害者が周囲にいた場合、彼ら彼女らに対して適切な対応とは、どのように心がければ良いのか。
どのように接すれば良いのかを、以下にまとめました。
偏見を持たないこと

同性愛者も性同一性障害者も、感情を持つ人間です。
私たちも他人から、心外なことを言われれば怒りますよね?それと同じで、普通の人と何ら違いはありません。
なかには「同性愛者は気持ち悪い」と思う人や「性同一性障害者だから自分たちとは違いが多い」など、心にもないことを平気で発言する人もいます。
しかしよく考えてみれば、わかると思いますが、「気持ち悪い」と言われて傷つかない人間なんていません。
今までに接した友達や家族に対する態度と、一緒で良いのです。むしろ偏見を持たずに接するのが、彼ら彼女らにとっての優しさになります。
自分たちと同じ人間だということを忘れないでください。
あなたの身近にも、同性愛者や性同一性障害者は存在しています。

日本では12人に1人が、性同一性障害者から発展したトランスジェンダーを含め、同性愛者やバイセクシュアルが存在します。
血液型でいうAB型と同じ割合になりますね。今までに出会った人達の中に、AB型が1人もいなかった…なんてことはないと思います。
ということは、私たちは今までの人生のなかで、必ず複数名以上の性同一性障害者や同性愛者とすれ違います。
彼ら彼女らが、自分からは言わないだけで、わりとごく身近に存在しているのです。
実際に私の周囲でもそうでした。
趣味に共感しあったり、人間性が「偏見を持たない人」と判断されれば、いずれは打ち明けてくれる場合もあります。
思いやりをもって接すれば、きっと心を開いてくれます。